「クライヴだね」

「クライヴだね」

 

ケンブリッジ大学に進学したモーリスに運命の出会いが。クライヴです。

プラトンの翻訳クラスで意見が分かれました。

「愛する者は友といることを無上の喜びと思い、あらゆる機会をとらえ友の体に触れる」

そこで教授が口を挟み「ギリシャ人とその悪習は訳すな」

クライヴが異を唱えます。

「男性の肉体美への憧れ、精神の美と人間の知識欲の美、それがギリシャ社会の柱でした」

つまり悪習などではないと。

ケンブリッジ大学は国家要人育成の最高学府です。

今も世界の大学ベストテンの1、2を争う。学生は議論に習熟し意見を

述べ合いますが、モーリスはどっちかというと、

「そう考えるのは勝手だが、口にすべきかな」という穏健派でした。

堂々と自説を主張していたクライヴが、行動となると別人。

この食い違いがモーリスの人生を狂わせます。

 

(「モーリス」 )

 

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