マーサ、マーサ!

マーサ、マーサ!

 

世間は自分たちの関係を友情と認知した。

経済的な補償も確保された。

多少の噂は残るとしても、なにしろ判決は破棄された、

これ以上の担保があるだろうか。あとはマーサと出直せばいい。

カレンはすっきりした。散歩に出る。マーサは部屋にいる。

しかし、マーサは自分と違い、正直に認めてしまったのだ。

言わなければ自分たちの間には何もなかったことであり、

極めて仲のいい親友同士として愛は成り立つのに。

このあたり、同性愛に対する社会の重い偏見がずっしりふたりを

圧しています。

言ってしまったマーサはどうなる? 

今度こそ身の置き所がなくなってしまうのでは。

「マーサ、マーサ」カレンは叫びながら部屋への階段を駆け上がります。

 

(「噂の二人」 )

 

 

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