こんなの、まちがってる

こんなの、まちがってる

It should not be like this.

 

キャロルは居間に組み立てたトレイン・セットのそばに座り、

スイッチを入れる。ゆっくり列車が走り出す。

頭の中にはハージ(夫)がいった言葉がある。

「こんなのまちがってる」

パーティの帰り、すぐ家に入ろうとするキャロルを止めた夫が

「クリスマスを、君をひとりにしておきたくない」

ひとりじゃないとキャロルは答える。

キャロルの女性関係を知っている夫は

「今度はあの店員か、こんなのまちがってる」

「そうね」とだけキャロル。

娘を寝かしつけ、円を描いて走る列車を見る。

テレーズが好きだといったトレイン・セット、

ひとりぼっちで走っている…

 

(「誘惑者キャロル」)

 

 

bn_charm