私は朗読係、やがて何者でもなくなる

私は朗読係、やがて何者でもなくなる

ラストのシドニーのセリフは

「そして誰でもなくなる」と「やがて何者でもなくなる」がありました。

後者のほうがわかりやすかったのでそれにしました。

馬車には、豪華なポリニャック夫人のドレスを着たシドニーと、

粗末な服を着て従者を装った夫人と旦那が。検問所に来た。

「王妃の期待に応えるように」と、夫人が険しい目でシドニーに。

「ポリニャック夫人?」官吏に訊かれたシドニーは笑顔でうなずく。

馬車は田舎道を去っていく。シドニーの独白で映画は終わります。

「私はシドニー・ラボルド。身寄りのない孤児。王妃の元朗読係。

王妃の命令通りヴェルサイユを去る。やがて何者でもなくなる」

シドニーを待つのが平安か死かわかりません。

ただ自分の愛に忠実に、だれに奪わせることもなく、

歴史から姿を消した娘を、監督は深い哀切で見送っています。

 

(「マリー・アントワネットに別れをつげて」)

 

 

bn_charm