愛情がこもっています

愛情がこもっています

シドニーの姿を見た王妃は嬉しそうに

「ラボルドさん、見て。ダリアの刺繍よ」

刺繍の名手シドニーが、女官に懇願され、徹夜で作り上げたのです。

「愛情がこもっています」とだけシドニーはいう。

「この人に褒美をとらせましょう」王妃は小袋を女官に手渡す。

シドニーは黙ったまま見ています。背筋を伸ばし、胸を張って。

たった一度、一生に一度のシドニーの告白でした。

 

(「マリー・アントワネットに別れをつげて」)

 

 

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