とうとう来たんだわ!
英BBCが世界の批評家177人の選んだ「21世紀の映画ベスト100」1位が
「マルホランド・ドライブ」でした。監督はデヴィッド・リンチ。
どこまでが夢でどこからが現実か、リンチは一つも臨界を示しません。
ヒントはありますけどね。
正気と狂気を分ける線引きなどあるはずがないと言いたいみたいです(笑)。
主人公はナオミ・ワッツ。カナダの田舎から女優を夢見てハリウッドにきた。
空港に降り立ち、ロスの青空を見上げ、「とうとう来たんだわ」と微笑む。
この幸せの笑顔はどう変貌していくのでしょう。
リンチが夢や妄想を「心の中の現実」として強く肯定し、有無を言わさぬ
腕力で表現したのが本作です。一見シュールな意匠をまといながら、
見終わると、この映画が不思議な、スピリチャルな透明感を伴っていることに気づかされます。