LGBT向け専任チームを作り、増える需要に対応

保険代理店 フォーユー

 FTM当事者として自身の経験を活かし、性同一性障害の方の保険相談に応じる、株式会社フォーユー(大阪市中央区)の藤原直さん。入社して4年、性同一性障害の方が入れる保険を増やすために、コツコツと取り組んできた努力が実を結びはじめました。社会の追い風もあり、保険の取り扱い商品が増加、当事者からの問い合わせも急増しているのだとか。LGBT向け専任チームを作り、増える需要にしっかりと応えていきたいという佐伯光社長をはじめ、原田靖専務取締役、チームを組むファイナンシャルプランナーの茗ケ谷潔さん、岡本和久さんにお集まり頂き、お話を聞きました。

 

女子校卒の履歴書を持ち、スーツにネクタイで臨んだ面接

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藤原さん

 藤原さんが同社の面接を受けたのは、ホルモン治療を始めて一年経った頃。「スーツにネクタイの男性の姿で面接を受けましたが、履歴書の学歴は女子高、女子短大卒。前職では女性の姿で働いており、まだ家族以外にはカミングアウトしていませんでした」と藤原さん。
 書類選考で落ちることも覚悟しながら、履歴書の性別欄の「男」・「女」のどちらにも印を付けず、不安を抱えて挑んだ面接で、佐伯社長から思いがけない言葉をかけられたといいます。

 「藤原くんから性転換治療の途中であること、今回は男性として応募したことなどの説明を受けました。彼が経験したことは、他の人間が経験したことのない貴重なものですから、ぜひその経験をいかして仕事をしなさいと伝えました」と佐伯社長。LGBTについて詳しく知らなかったという社長や専務でしたが、「面接では人間として魅力的で、素晴らしい人材を選ぼう」と決めていた通りの選考で、満場一致で藤原さんが選ばれたといいます。
 「男性として彼を見て評価をしている」という佐伯社長ですが、一般社員に偏見や戸惑いはなかったのでしょうか。
 「もちろん、考え方は人それぞれですから、多少の偏見があったかもしれません。でも彼には、それにどうこう言うより、自分でポジションを作りなさいと伝えました。きちんと活躍をすることで周りが認めてくれるようになりますから」。

 

 

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佐伯社長

 

不備のたくさんあるLGBTに対しての保険を変えていきたい

 そして藤原さんの入社後、佐伯社長は「LGBTに対しての保険には不備がたくさんあることを教えられた」といいます。
 「そこで困っている人の悩みを解決するため、今できることをしよう。これからできることを考えようと取り組みました。彼がLGBT向けの保険について、もちろん一般の保険についても一生懸命勉強してきたことが、今花開いているのです。最初は狭い顧客層でしたが、皆さんが興味を持つようになり、このような形になりました」。

 保険会社の姿勢もみるみる変わり、性同一性障害の方が加入できる保険の商品が増えてきたのです。一方で、ホルモン注射などでリスクが高まる中、高額保障の医療保険に入れないなど、商品が限られているのも現状です。

 「将来を安心して暮らしていただくために、保険の内容を充実したものにしていきたい。そのために保険会社への橋渡しをしたい」チームのメンバーはさらに高い目標を見据えています。

 

 

 

 

株式会社フォーユー

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Tel.06-6266-4404(代表)