キャロル20160509

 

「何をするかわからん女だ!」
「そんな女と結婚したのよ!」

キャロルの夫、ハージのキャロル評です。
彼にすればキャロルは整合性のないこと、おびただしい女性です。
経済的に何不自由なく、社会的な立場は安定し、
娘にも恵まれ、何でもできる(ト夫は信じている)のに、
キャロルは鬱々として楽しまず、
女性を好きになり、あげく離婚するという。
「何をするかわからん女だ!」
「そんな女と結婚したのよ!」
キャロルの心の中の虚ろを感じとったのは、むしろ年若い、
でも心からキャロルを愛しているテレーズでした。
テレーズが、キャロルが自分のことをどう思っているか、
なかなか確信が持てなかったのは、
キャロルにはどこか、うわのそらのような感じがつきまとい、
そうさせている正体が、
キャロルの、キャロル自身に対する不安と虚無感であることを、
テレーズはまだわからなかったからです。

(「キャロル」)