マルホランド・ドライブ20160408

 

「お静かに。楽団はいません」

デヴィッド・リンチにすれば、この映画がどういわれるかわかったうえで、
「お静かに。楽団はいません」と、
劇中タネ明かしのヒントをいれておいたのでしょうね。
女優を夢見てカナダからやってきたナオミ・ワッツが、
同じ女優志願の女性ローラと愛し合うが、彼女はナオミを棄て監督と婚約する。
ナオミは殺し屋にローラを殺害させ自殺する。
こんな単純な話を、極彩色の迷宮にしたデヴィッド・リンチの、
愛すべきシュールな世界。
ナオミとローラが深夜の劇場ではかなげな女の歌を聞き涙する。
でもそのあとで妙なおっさんが現れ「お静かに。楽団はいません」と言う。
演奏する楽団はいない、みなコピーだ、
つまりここはまやかしの劇場だ、
とネタバレさせるのね。
一度や二度、ネタバレを聞いたってわからないのがこの映画のすごいところ。

(「マルホランド・ドライブ」)