黒蘭の女20130624

 

「愛で助けることはできない」

1940年代とは、女性像を覆すヒロインたちがスクリーンに続々登場した時代です。
それは世間の女が夢見るハッピーエンドとは無縁の女たち。
ベティ・デイビスの演じた本作の強烈な自我のヒロインは、ひとつも男の言うことを聞かず、男は貞淑な優しい女性を妻に選ぶ。
男は疫病にかかり死の島に隔離されることになった。
妻は一緒に行くというが、瀕死の患者を日夜休みなく看病し、腐りかけた体を拭き、食べ物を与える、そんな仕事はお嬢さんには無理。
デイビスは妻に「愛で助けることはできない」。
こんな乾いたセリフのよく似合う大女優がベティ・デイビス。

(「黒蘭の女」)