週末はマンガでエンジョイ!ーRikiのおすすめコミック

大島弓子「バナナブレッドのプディング」白泉社文庫

 
彼女の描く女の子の絵が好きで、自分のノートに何度も描き写した記憶がある。
とんがった顎の線、ぱちくり目玉にくるくるフワフワの髪の毛…。
憧れだった。
 
さて、この物語は難解。イライラと縺れた人間関係がメタモルフォーゼしながらすすんでゆくように見えて、余計にこんがらがり続ける。
主人公衣良は、自分が人食い鬼に食われてしまうことを恐れる少女。憧れは後ろめたさを抱える男色家の男性と暮らすこと。友だちのさえ子は兄の峠に男色家の振りをさせて衣良と偽装結婚させる。さえ子はゲイの奥上が好き。奥上は新潟教授の愛人でー。
人を愛することで、天使のような自分が悪魔になってしまうと恐れている少女は、自分の神であった姉が結婚するという現実を受け入れることができずにますます錯乱してしまう。
 
人はみな変わりたくない自分を、あるいは純粋でまっ白な美しさを持ち続けたいと願うものなのだろうか。新たな自分ーそれが醜く汚れていようともーの発見と受容を成長と呼ぶのかも知れない。